理美容師が求めるもの。
今日の読売新聞、読者の投稿が寄せられていました。
投稿者の中条さん19歳は弱視、眼鏡を外したら鏡の中の自分がほぼ見えなくなる。
生まれて初めてカラーをしたくて、友人に紹介してもらった美容室でそのことを伝えたら「では、完成してからのお楽しみですね」と美容師さんが気合を入れて頑張ることを約束。
長かった髪を切るときの、美容師さんの手のぬくもりと感触。耳から聞こえてくるハサミの音。カラーの薬剤をつけるときには「今、頭の右後ろにつけましたよ」と実況しながら施術する美容師さん。想像を膨らませて仕上がりを待つワクワクの中条さん。
完成して眼鏡をかけると、スタイルもカラーも完璧な仕上がり!
「幸せな気持ちでいっぱいの自分と、後ろでとても満足そうな美容師の笑顔が、鏡に映っていた」(投稿本文より)
と中条さんは投稿を結んでいます。
理美容師という仕事は、一人前になるまでにありとあらゆることについて膨大な練習を繰り返します。そもそも、どうなったら一人前やねんって話ですが。
わたしは理容師なので理容でのことしかわかりませんが、理容学校ではお顔剃りやカット、シャンプー、そんな練習に行き着くまでに、まず「カットクロス」の巻き方にダメ出しされて何度も練習するのです(笑)。
そこからかい!!!ってなりますよね。
はい、そこからなんです。
どれほど技術を覚えても、新しい薬剤や新しいツールはどんどん出てきます。自分が覚えたことは、何年かすればもう「ひと昔のやりかた」。もちろん、そのツールや薬剤を開発する理美容師さんもいらっしゃいます。そしてわたし達は、それを自分のサロンに取り入れるメリット・デメリットを量りにかけて取捨選択をします。
技術が出来ればそれでいい。
そんな時代はもう過ぎて、マーケティングであったり集客であったり、サロン運営のことも同時にやっていかなくてはいけません。毎日の売り上げ計算、決算・申告、経費の計算。個人事業主のかたなら、少なからず理解していただけると思いますが、本業以外のことに時間をとられることも多いです。
ときに襲う、商売人の性につけこむあつかましい人の意味不明なお付き合いの強要や、技術職を軽く扱う人の言動に、正直やってられへんな・・・と思うこともあります(笑)うふふナイショよ♪
でもそんな理美容師(他のひともそうに違いない!←巻き添え)が、なぜ頑張れるかというと、前述の中条さんが見た
「生まれて初めてカラーをした、その仕上がりを見て幸せな気持ちでいっぱいの中条さん」を見ていた美容師さんの「満足そうな顔」が全てを物語っているのではないでしょうか。
お客さまをキレイにして、喜んでもらいたい。
お客さま自身も気付かないその人の隠れた魅力を引き出して、輝いてもらいたい。
ずっとずっとキレイでいてもらいたい・ずっとずっとカッコよくいてもらいたい。
理美容師になって独立して、お金を儲けたい!そんな人もいます。て言うか、みんなそれは思ってると思う(巻き添え)。わたしも、お一人施術させていただいて喜んでもらえたらお金はいりません・・・なんていうわけにはいきません。潰れるわ!
お金を儲けたいという欲望を否定するわけじゃないし、むしろ健全。社会人なら当然の欲求だと思います。
でもそこに接客業、技術職として「人に満足してもらう」「人に、わたしを選んでよかった(当店を選んでよかった)と感じてもらう」という達成感がないと、とてもじゃないけどモチベーションはあがりません。あがらないにもほどがある。
だからこそ頑張れる。
「もう誰もわたしがカットしてもお顔剃りしてもお顔ほぐししてもパーマしてもカラーしても喜んでくれへん。」てなったらもう理容師はやめます。。。
中条さんを担当した美容師さん、もしも今日の読売新聞を見たらめっちゃ喜ぶと思います。拡大コピーして店に貼り出すと思う。拡大コピーして郷の親に送ると思う。初恋のあの子にも送ると思う。。。やばいまた妄想が止まらない。
わたしも頑張ります~♪