ライフ

立ち止まるときには本を読め。

あれは誰の言葉だったか・・・。

「今あなたが抱えている悩みは、史上初の悩みではない。長い歴史の中で先人の誰かがかならず同じ悩みを持ち、それを乗り越えてきたはずだ。それを知るには本を読みなさい。自分の近くにいて耳障りのいい言葉をかけてくれる人たちだけに頼らずに、違う時代に生きた人が残した言葉から学びなさい」

 

今じぶんが抱えている悩みと、同じ悩みを抱えていた先人を(しかもそれを書物に残している人を)探してそのタイミングで読むというのはかなり至難の業だけど・・・

全く関係のない言葉でも、全く違う時代でも、なぜかストンと心に落ちることがあります。たとえばそれは漫画でもいい。ハーレクインロマンスでもサブカルでも、何なら歌集でもいい。そこに答えは載ってないかもしれないけど、そこに「心が少し軽くなること」が書いてあるかもしれません。

 

先日、高校教諭のお客さまから聞いて読んだ本はこれ。

「サラバ!」 西加奈子著 第152回直木賞受賞作品です。

 

ずいぶん前に、西加奈子作品「漁港の肉子ちゃん」を読んでいたのですが、正直主人公の肉子ちゃんやきくりんに何の共感も親近感も沸かず、途中で読むのをやめてしまったという経緯がありました。

「西加奈子か~」

といいながらも、わたしはお客さまが「おもしろいよ」とおっしゃった本はよほど高価で手が出ないか入手しにくいものでなければ、読むようにしています。

読んだ感想は・・・とっても深い。

変わり者の姉と変わり者の母、お人好しで姉や母のことも受け入れて我慢しているだけ(のように見える父)、そして「僕」という一人称でストーリーを語る主人公・歩。

あらすじを上手にここでお伝えするのは、わたしの文章力では難しいので控えますが・・・。

始めのほうではまさに奇想天外支離滅裂、破天荒で自由すぎる姉の強烈な自己主張「わたしはきっと特別なひと!わたしを見て!」というふるまいにドン引き。

もちろん、そんな姉の貴子の奇異な行動は周りに受け入れてもらえるはずもなく、引きこもりになったり宗教にのめりこんでいったりと、どんどん深刻化していって「どうなるんだろう、このお姉ちゃん」と心配すらさせる存在。

でも、後半で状況が一気に変わり、姉の貴子は生きることに迷い立ち止まっていた歩を諭します。

 

「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」

 

この一文は、「サラバ!」を紹介するサイトや感想を書いたブログなどには必ず書かれている言葉なのですが、わたしもこの言葉にとても感銘を受けました。

「信じる」という言葉はとても大きいけど、もっと小さい括りで考えたら、自分が「こうしたい」という日常でも、何かと言い訳を考えてやらなかったりしてないかな、と。

それを「選びきる」「信じきる」ことが怖くて、誰かにゆだねる。親や家族や、風水や友達。誰かからのチケットを待ってる。

 

なぜか「だから」とか「けれど」という接続語がときたま主語のあとに来るという、独特の文章がちらつくのが若干気になりましたが(笑)、とても深くて考えさせられる本でした。今のわたしに、ぴったりでした。

本を読もう。そこに答えはなくても、「心が軽くなるかもしれない」から。

 

追伸☆☆一緒に写っている「罪の声」これもおもしろかったです!また次の機会に。

 

 

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