お子ちゃまの抜毛症…トリコチロマニアの相談について
数年前からSNSや以前のアメブロにも、何度か書いているのですが、髪を引っ張って抜くというクセを「抜毛症」または「トリコチロマニア」といいます。
髪をつかんで強く引っ張るとプチンと抜けます。1本、2本の単位ではなく、指を広げて髪をむんずとつかみそのまま引っ張り、指に挟んだ毛髪を一度に何本、何十本も抜いてしまう人もいます。
当店でも、お客さまから
「娘が髪の毛を抜いてるみたい」と相談を受けたことがあります。
トリコチロマニアの原因というのは、はっきりとわかっていません。
精神的ストレスや悩みが解消できず、体の一部を適度に痛めつけることによって気持ちがスッとするという解釈もあります。
また、心の安定やバランスを整える作用がある伝達物質「セロトニン」が不足しているという説も有力です。
トラウマやいじめ、虐待などを受けた子どもが自己否定感に苛まれてやってしまう、という方もいますが、私はそうは思いません。
もちろんそれが原因になって、自傷行為に走ってしまう人がいるように、抜毛症のキッカケになる人もいるかもしれませんね。でも、抜毛症の原因としてそのような背景があるのではないか、と決めてしまうことは間違っていると思います。
爪を噛んだり、貧乏ゆすりをしたり、そんなクセの中のひとつです。
でも貧乏ゆすりをしても特にマイナスな面はないかと思いますが←周りの人はイラッとくるかもしれませんが、抜毛症はやり続けることで頭皮が傷んでしまい、髪が生えてこなくなってきます。美容面で大きな影響を与えます。
また、床に落ちた「抜いた毛」を自分で見て落ち込み「自分はなんでこんなクセを直せないんだ」と自分を責めてしまいストレスをため、また抜いてしまうという悪循環にも陥りやすくなります。
お父さんであるお客さまから相談されたのは、小学生の娘さんです。
当初は右側頭部の髪がまだらに抜けていて、びっくりして色々と本人に聞いたり状況を見ていると利き手の右手で右側頭部の髪をひっぱり抜いてしまっているようでした。
お父さんもお母さんも、始めはすごくびっくりしてしまって、髪を触っているのを見るたびに手を叩いたり、家の中でもミトンの手袋をさせたり、それは色々と考えてやってみたそうです。
ネットで色々と調べては、
「親の愛情が足りないのではないか」と、お母さんは特に思い悩んでおられた時期もありました。
私にご相談いただいたのは
「いい育毛剤あるかな」
というお話がきっかけなのですが、正直に言ってトリコチロマニアがある限り、育毛剤をどれほど使っても髪は生えません。
抜くのをやめない限り、頭皮は傷み続け髪は抜けていくばかりです。
幸い、ご家族は愛情あふれる関係でしたし、その女の子には年の離れたお姉ちゃんがいたので、お父さん・お母さん・お姉ちゃんの3人で方針を決めて接してあげてはどうですか?
とお話をしました。
・叱らない
・毛を引っ張るのはなぜ良くないかを、きちんと説明する
・その説明をした後は、くどくどと同じことを言わない
・抜いた髪を見つけても、騒がないでそっと処理する
そして
・抜いてるのを見つけた時は、その手に飴玉を持たせてあげる
・抜毛症は困った癖だけど、あなたのことは愛してるんだよと言葉にして伝える
・抜いているところを見つけたら、その周りに落ちている毛髪がどれくらいあるか注意して見る
トリコチロマニアで、気を付けないといけないことは、まれにその髪を食べてしまう「食毛症」を起こしてしまう人がいることです。
お腹の中で消化しない毛髪が毛玉になってしまいます。そうなると、開腹して取り出さないといけなくなります。
抜毛が治っていないようなのに、落ちている髪の毛がどうも少ない、と思ったら、よくよく観察してあげてください。
もちろん、精神科やカウンセリングに通うのも重要な選択肢のひとつです。
最初に「抜毛症は貧乏ゆすりや爪を噛むのと同じ」と書きましたが、決定的に他の癖と違うのは、見た目に重大な問題が生じてしまいやすいということと、自己否定感の強くなる癖であるということです。
そういった面では、お医者様に相談しながら生活面を見直すことは改善への手がかりになるかと思います。
そのお子ちゃまですが、お姉ちゃんがよく面倒をみてくれているようで、少しづつマシになり、今はほとんどトリコチロマニアは見られなくなったそうです。
お父さんも悩まれてたので、本当に良かったです。
髪は長いお友達、と昔テレビのコマーシャルで見たことがありますが、本当にそう。大切にしましょうね♪